神仏が習合して栄えた山の姿を、山麓に伝わる仏教美術から考える。
福岡県久留米市の高良山には、筑後国一の宮として崇敬を集める高良大社が鎮座します。高良神を主祭神として祀る神社で、古くは高良玉垂宮と呼ばれ、神宮寺も隆盛して全山に社寺堂塔が築かれました。しかし、明治時代の神仏分離によって山の寺院は廃絶。現在の山中に仏教に直接結びつく遺品は多くは残されていません。
図録では、九州歴史資料館が実施した山麓寺院の仏教美術の調査成果の中から、かつて高良山に安置されていた仏像・仏画を紹介。元の安置寺院を推定しながら、神仏が習合して栄えた山の様子を復元的に考えます。
目次
・論 考 高良山の仏教美術
・第一章 高良玉垂宮と神宮寺
・第二章 絵図に見る山の宗教空間
・第三章 山内寺院と安置仏
コラム 1 高良山の石造物
・第四章 山周辺の古仏
コラム 2 山の平面構造と寺院配置
・第五章 山の神仏分離と仏像の保護
コラム 3 山の尊像を受け入れた古刹