概要
本報告書は、昭和46年度から九州歴史資料館が進めてきた大宰府史跡発掘調査の中で、大宰府政庁の周辺に広がる官衙地区のうち、 広丸地区に関する正式報告書の第1冊目である。
広丸地区には、多くの掘立柱建物が確認できるが、その多くは8世紀後半~10世紀前半に収まるもので、 井戸などの他の遺構同様の傾向があることが判明した。 また、10世紀前半、遺構は建物群に代わり土壙墓群が営まれるようになるなど、土地利用形態の大きな変化を捉えることができた。
これまで、広丸地区は小型の建物や柱穴規模が小さい建物が多いことから、官人居住域とする見解も出されているが、遺構の再検討により不丁地区に匹敵する 数の建物が存在することが判明し、出土した豊富な遺物などからも、遺跡の性格については再考が必要となっている。